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エネルギーと電気(エネルギー白書等から)

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          目  次

1.エネルギーの消費と供給

(1)エネルギーの消費

(2)エネルギーの供給

2.電気エネルギーの消費と供給

(1)電気エネルギーの消費

(2)電気エネルギーの供給

(3)電力化率

3.今後の電力需要

 

電気工事士の皆さんは、欠くことのできない電気を電気工事により消費者に届けるという重要な役割を担っています。ここでは、国の「エネルギー白書2024」等を基に日本全体のエネルギーの供給と消費とともに、エネルギーの1つである電気に関する需給の状況を紹介します。引用元を記載していない図は、同白書からの引用です。

1.エネルギーの消費と供給

(1)エネルギーの消費

図1に1973年度~2022年度の部門別のエネルギー消費とその間のGDP(国内総生産)の推移を示します。1973年度に第1次オイルショック(原油価格高騰による世界経済の混乱)が発生しました。第2次オイルショックは1980年前後3年間です。高度経済成長期に、日本の最終エネルギー消費はGDPよりも高い伸び率で増加しました。しかし、オイルショックを契機に、製造業を中心に省エネが推進されるとともに、省エネ型製品の開発も盛んになり、こうした努力の結果、最終エネルギー消費は2005年度をピークに減少傾向にあります。

1973年度から2022年度にかけての部門別の最終エネルギー消費の推移見ると、企業・事業所他部門が0.9倍(産業部門10.7倍、業務他部門1.9倍)、家庭部門が1.8倍、運輸部門が1.5倍となりました。企業・事業所他部門では、経済成長する中でも、製造業を中心とした省エネの進展等により、最終エネルギー消費が同程度の水準で推移しました。一方、家庭部門や運輸部門では、エネルギー利用機器や自動車の普及等により最終エネルギー消費が増加しました。

(2)エネルギーの供給

図2に1965年度~2022年度にエネルギー源別の一次エネルギー国内供給の推移を示します。一次エネルギーとは、石油、天然ガス、石炭、水力、原子力、風力、地熱、太陽光など自然界から直接取り出されるものをいいます。これに対し、一次エネルギーを加工して得られるエネルギーを二次エネルギーといい、天然ガス火力発電所で発電される電気はこれに該当します。

日本は、エネルギーの安定供給を実現させるため、石油依存度の低減と、石油に代わるエネルギーとして、原子力や天然ガス、石炭、再エネ等の開発を進めました。その結果、一次エネルギー供給に占める石油の割合は、2010年度には40.3%へと低下し、その代替として、石炭、天然ガス、原子力の割合が増加することで、エネルギー源の多様化が図られました。しかし、2011年に発生した東日本大震災とその後の原子力発電所の停止により、発電用燃料として化石エネルギーの消費が増え、減少傾向にあった石油の割合も上昇しました。その後は、発電部門で再エネの導入等により、一次エネルギー供給に占める石油の割合も減少し、2022年度には36.1%となりました。

2.電気エネルギーの消費と供給

(1)電気エネルギーの消費

図3に1965年度~2022年度の部門別の電力最終消費の推移を示します。電力消費は、第1次オイルショック以降も着実に増加し、1973年度から2007年度までの間に約2.6倍に増加しました。しかし、2008年度には、世界金融危機の影響で電力消費が減少に転じ、その後も節電意識の高まり等により、減少傾向が続きました。

部門別の動向を見ると、産業部門が電力を最も多く消費していますが、素材産業における生産の伸び悩みと省エネの進展等により、1990年代からは減少傾向にあります。そうした中、電力消費の増加を長期的にけん引してきたのは、業務他部門や家庭部門です。業務他部門では、事務所ビルの増加やOA機器の普及等により電力消費が増加しました。家庭部門では、エアコン等の家電の普及等により電力消費が増加しました。

(2)電気エネルギーの供給

図4に1952年度~2022年度の部門別の電源別の発電電力量(kWh)の推移を示します。日本では、1970年代の二度のオイルショックを契機に、電源の多様化が図られてきました。

近年の電源構成は、シェアの大きい順に、LNG、石炭、新エネ等、石油等、水力(揚水含む)、原子力となっています。原子力は、2011年の東日本大震災以降、原子力発電所は稼働を停止し、2014年度には原子力による発電量がゼロになりました。その後、再稼働が順次行われ、2023年12月現在では、計12基が再稼働に至っています。新エネ等については、FIT制度が導入された2012年から発電電力量の増加が加速しています。2012年度の発電電力量は309億kWhでしたが、2022年度には1,421億kWhとなりました。

(3)電力化率

エネルギー消費に占める電気エネルギー消費の割合を電力化率といいます。図5-1に最終エネルギー消費(図1)における電力化率を示します。1970年度に12.7%であった電力化率は、右肩上がりに上昇し、2022年度には27.4%に達しました。電気は、多くの分野で使う場面が増えています。

図5-2に業務他(第三次産業)部門、図5-3に家庭部門の電力化率をそれぞれ示します。業務部門については、1990年度に29.3%であった電力化率は2010年度以降50%台で上昇傾向にあり、2022年度には57.9%となっています。家庭部門については、1990年度に38.0%であった電力化率は2010年度以降50%前後で推移していますが、近年徐々に上昇し、2022年度には52.1%となっています。

                         

 (注)図5-2及び図5-3は資源エネルギー庁「令和4年度(2022年度)におけるエネルギー需給実績(確報)」のデータを基に当センターで作成。

3.今後の電力需要

電気事業法第28条の15に基づき経済産業大臣から認可を受けて設立され、電気の需給状況の監視等の業務を行っている電力広域的運営推進機関(OCCTO)は、一般送配電事業者から提出された電力需要の想定から全国の需要想定を策定し、公表しています。その2024年度版にある需要電力量全国合計(使用端)を図6に示します。

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