松下正晴(まつした まさはる)
定期講習講師(知識、事故例、法令)
皆さんは電気のトラブルが発生したらどのような対応をとっていますか?
私たちは電気を見ることができない分、色々な測定器で電気の状態(波形・信号等)をみ てトラブル対応をしていると思います。
今回、私がお客様からトラブルの原因調査を依頼され、測定器を使い対応した事例を紹介 したいと思います。使用した測定器は高調波モニターで、電圧の波形や高調波(基本波の整数倍の波形)を測定することができます。
最初の場所は新設のポンプ場で、水量を計る計装装置が誤動作するとの相談でした。
高調波モニターで測定すると電圧の波形はひずみ、基本波(60 ㎐)の30倍から37倍の高調波が発生しておりました。この高調波の原因は、ポンプモーターの回転数を制御するインバーター装置の高調波対策 が不十分で、電圧波形が乱れ計装装置の誤動作となっていました。
次の場所は商業施設で、あるテナントのパソコンが突然フリーズするとの相談でした。
高調波モニターで測定すると、基本波(60 ㎐)の35倍から47倍の高調波が発生しており ました。
その隣のテナントはオープンしたばかりで、演色性を出すためインバーター付きの照明が設置されておりました。そのテナントにお願いして照明を消すと、高調波は収まりました。パソコンがフリーズする原因が照明装置と分かり、器具の変更をお願いしました。
電気のトラブルには、原因がつかめない事象も多数ありますが、色々な測定器を使って 「電気をみる」習慣を身に着けると、早期解決の一助になると思います。みなさまの参考になればと思い、投稿しました。