エネルギー政策基本法により、政府は、エネルギーの需給に関する基本的な計画(エネルギー基本計画)を定めなければならないとされています。現在、経済産業省総合資源エネルギー調査会基本政策分科会において第7次計画が審議されており、12月17日開催の同分科会で原案及び原案(概要)が事務局から提示されました。エネルギー基本計画(原案)における電気の需給に関する記述の概略を紹介します。
(状況の変化)
第6次計画以降、DX(デジタル技術による変革)やGX(化石燃料減とクリーンエネルギー促進のための取組)の進展に伴い電力需要増加が見込まれる。
(政策の方向性)
エネルギー安定供給と脱炭素を両⽴する観点から、再⽣可能エネルギーを主⼒電源として最⼤限導⼊するとともに、特定の電源や燃料源に過度に依存しないようバランスのとれた電源構成を⽬指していく
(省エネ・非化石転換)
⼯場等での先端設備への更新⽀援を⾏い、⾼性能な窓・給湯器の普及など、住宅等の省エネ化を制度・⽀援の両⾯から推進する。トップランナー制度やベンチマーク制度等を継続的に⾒直しつつ、地域での省エネ⽀援体制を充実させる。
(再生可能エネルギー)
・再⽣可能エネルギーの主⼒電源化を徹底し、関係省庁が連携して施策を強化することで、地域との共⽣と国⺠負担の抑制を図りながら最⼤限の導⼊を促す。
・再⽣可能エネルギーの主⼒電源化に当たっては、電⼒市場への統合に取り組み、系統整備や調整⼒の確保に伴う社会全体での統合コストの最⼩化を図るとともに、次世代にわたり事業継続されるよう、再⽣可能エネルギーの⻑期安定電源化に取り組む。
・太陽光発電の適地が限られる中、従来設置が進んでいなかった耐荷重性の低い建築物の屋根や建物の壁面等への設置を進める観点から、2024年11月に次世代型太陽電池の導入拡大及び産業競争力強化に向けた官民協議会において策定した「次世代型太陽電池戦略」に基づき、軽量・柔軟等の特徴を兼ね備えるペロブスカイト太陽電池の早期の社会実装を進めていく。
(エネルギー需給の見通し)
2040年度エネルギー需給の⾒通しは、諸外国における分析⼿法も参考としながら、様々な不確実性が存在することを念頭に、複数のシナリオを⽤いた⼀定の幅として提⽰(下図)。 これによると、2022年度と2040年度の比較では、最終エネルギー消費量(億kL)は減少しているが、電力需要(兆kWh)は増加傾向にある。また、再エネは大幅に増加している。